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2019年度道北地区支部秋季セミナー(市民公開セミナー)実施報告

さる9月29日(日)、士別市勤労者センターにおいて、士別市社会福祉協議会による「士別地域成年後見センター開設記念講演会」との共催事業として、2019年度道北地区支部秋季セミナーを開催しました。今回の秋季セミナーについては、主に専門職に向けた内容と一般の方向けの内容を午前と午後に分けて開催しました。
まず午前には、主に専門職に向けた内容として、法テラス埼玉法律事務所の常勤弁護士である水島俊彦氏を講師に、「意思決定支援の今とこれから 成年後見制度の課題と今後期待すること」と題した講演を実施し、制度が始まって19年が経過した成年後見制度の最近の動向と、意思決定支援について解説していただきました。この午前の専門職向けセミナーには、道北各地から行政や福祉専門職など、計108名の参加者がありました。
講演の中では、まず、成年後見制度利用促進計画において、成年後見制度がより「利用者がメリットを実感できる制度へ改善されること」を目指し、本人の実生活に合った類型が選ばれるように、また本人の性格、選好、価値観、おかれた状況等によって最適な後見人等候補者のマッチングができるように、「本人情報シート」が導入されたことについての説明がありました。
続いて、「意思決定支援」が、重要とされていながらも支援の現場で難しいと言われている要因について、「本人の意思決定は、必ずしも合理的であるとは言えない。それでも本人の価値観で決定できるよう支援する」ところが難しいと思われるポイントであるとの説明があり、本人が決める領域と他者が決定・介入する領域を分けて考えるとともに、本人が大切にしていることややりたいことを本人に確認する前に、家族や支援者が(本人にとって良かれと思って)リスク回避のための選択を先に提示しないこと、本人の思いや大切にしていることをしっかりと把握することが重要であるとのお話しがありました。
また、意思決定支援は、周囲から本人に決めてもらわなければならない事案が発生して必要になることが多いが、本人に十分な準備がないために判断に迷ってしまった結果、本人では決められないと周囲が誤認してしまいがちであるために特に注意が必要であり、本人が判断しやすい環境の整備や、判断材料となる豊かな経験など、日頃からの準備が大切であるとのお話しがありました。
引き続き午後からは、主に市民を対象とした内容として市民公開セミナーを開催し、福祉専門職のみならず、一般の方も含め計108名の参加者がありました。
最初に、今年開設された「士別地域成年後見センターの役割と開設後の相談状況」について士別地域成年後見センターの主任相談員である寺口直幸氏から説明を行った後、「知って安心!成年後見制度~住み慣れた地域で暮らし続けるために~」とのテーマで、午前に引き続き、弁護士の水島俊彦氏により講演を行いました。講演の中では、水島氏が以前赴任されていた新潟県佐渡市において多職種による成年後見制度に関する市民劇を開催した様子をスライドで紹介したり、事例を交えたりしながら、実際の成年後見人の役割や業務の内容などについて、分かりやすく説明していただきました。
水島氏からは、「成年後見人が選任されることがゴールではなく、選任されたことで被後見人が様々なサービスや制度が使えるようになるスタートである」とのお話しがあり、改めて成年後見制度についての学びを深めるよい機会となりました。

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講師の水島俊彦氏(法テラス埼玉法律事務所常勤弁護士)

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来賓としてご挨拶いただいた士別市長の牧野勇司氏

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会場(午前)の様子

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会場(午後)の様子

※掲載が遅くなりましたことをお詫びいたします。