さる1月18日(金)、旭川刑務所において青年部企画の研修会「旭川刑務所を見学してみよう」を開催いたしました。当日はあいにくの悪天候にも関わらず、10名の参加がありました。
今回は、普段なかなか見ることができない刑務所について、施設見学と講話を通じて学びました。
講話では、総務部長の三浦智博氏より、施設の概況と社会復帰に向けた取り組みについてご説明をいただきました。
旭川刑務所は、2016年2月に改築されたばかりの新しい建物で、全室個室という全国でも珍しい形態となっており、受刑者の平均年齢は51.8歳、最高齢は89歳で、刑期10年以上または累犯の受刑者を収容する施設となっています。
刑務所内では、矯正処遇として木工や農業などの「刑務作業」や、更生や社会復帰に向けた「教育活動」が行われています。また、特別改善指導として「薬物依存離脱指導」や「性犯罪再犯防止指導」といったプログラムが設けられており、教育専門官や外部の講師によるグループワークやSSTなどを通じて、受刑者は自身の課題を認識し再犯しないための方法を学びます。
施設見学では、厳重なセキュリティの下、受刑者が使う居室や浴室、講堂などを間近に見せていただきました。居室はコンパクトな造りではありましたが、ベッド、トイレ、洗面所が完備され、プライベートが保たれる環境でした。個室になったことで、「罪に向き合う時間が増えた」、「勉強に集中できるようになった」と感じる受刑者が増加し、さらに受刑者同士のトラブルが減少するといった効果も出ているとのことでした。しかしながら、個室化によって自殺のリスクが高まるため、室内は自殺を防ぐための工夫を行うとともに、日々、刑務官が注意を払っているとのことでした。
今まで、刑務所に対しては漠然とした「罪を償う場所」といったイメージしかありませんでしたが、講話の中で、帰属先や就労が決まっていない者による再犯率が高いため出口支援が重要視されており、就職に向けた様々な資格取得の推進や、ハローワークと共同して就労支援が行われていることがわかりました。また、収容時に、知能検査に類似した検査を実施するということも知ることができました。
犯罪白書等に示されているように、受刑者の中には障がいを持った方が一定程度おり、その中には手帳の取得をしていない方もいることから、検査の結果から個々の能力に応じた作業を提供したり、指導を工夫したりしているそうです。さらに、障がいを持った方だけでなく高齢者も多いため、出所する際には、刑務所で働く社会福祉士が保護観察所や地域生活定着支援センターと連携して、福祉サービスを利用しながら円滑に社会復帰できるように支援しているとのことでした。
見学を通じて、刑務所がいかに「社会復帰」と「再犯防止」に力を入れて指導をしているかがわかりましたが、出所者を迎える地域住民の理解や協力がなければ就職先や住む場所が見つからず、それにより結果的に再犯の可能性が高まってしまうこととなります。そのため、社会福祉士として、また地域の一員として、罪を償い出所された方の社会復帰をどのように応援できるのか、さらには、生きづらさを抱えた方が罪を犯さないようにするために、もっと出来ることがあるのではないか、と考えるよい機会となりました。
※掲載が遅くなりましたことをお詫びいたします。