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第15回高齢者障害者の権利擁護セミナー実施報告

さる3月4日(土)、旭川市大雪クリスタルホール大会議室において、旭川弁護士会高齢者障害者権利委員会、成年後見センター・リーガルサポート旭川支部、日本司法支援センター旭川地方事務所(法テラス旭川)、当地区支部の4団体共催にて、第15回高齢者障害者の権利擁護セミナーを開催いたしました。
15回目を迎える今回のセミナーも、旭川を中心に遠方からも多くの方がお越しになり、計125名の参加があり、「安心できる制度 成年後見制度」をテーマに、制度の説明やパネルディスカッションを行いました。
主催4団体を代表して旭川弁護士会より開会の挨拶の後、旭川弁護士会の弁護士石井洋文氏(深川総合法律事務所)から、成年後見制度に関する制度説明として、財産管理を中心に、制度の内容や申し立てについて、図を示しながらわかりやすく説明していただきました。
続いて、権利擁護のための法律相談窓口としての法テラスの活用法などについて、法テラス旭川の常勤弁護士富田佳祐氏より、「まずは法テラスへ相談」。法テラスは、司法にアクセスしやすいことを目的に活動しているため、だれでも気軽に相談できる組織なので是非活用してほしいとの案内がありました。さらに富田氏からは、ご自身の後見活動の体験から利用者の能力の代わりになるのではなく、一部分だけサポートすることが大切で、支援者はそこを考えて支援しなければならないとのお話しがありました。
いったん休憩をはさみ、講演「社会福祉実践の視点からみた専門職後見人への期待」と題して、北海道医療大学大学院看護福祉学研究科 非常勤講師石川秀也氏よりご講演をいただきました。
社会福祉士の後見人は身上監護が中心なこともあり、死後事務などグレーゾーンとなっている部分などの説明がありました。死後の事務は後見のみできることが明確化されましたが、死後には本人の能力に差はないため、ほかの類型でも認められるべきではないかと考える、とのお話しがありました。
そのほか、社会福祉士として行う支援について虐待のケース等の事案を例示しながらの説明や、残されている課題についてのお話しもあり、盛りだくさんの内容でした。
講演に続いて、ななかまど法律事務所の弁護士菅沼和歌子氏、伊藤奈津美司法書士事務所の司法書士伊藤奈津美氏、本会の社会福祉士平川俊彦氏の、それぞれ専門職後見人として活躍されている3名のパネリストをお迎えし、講演でお話しいただいた北海道医療大学大学院看護福祉学研究科 非常勤講師石川秀也氏をコーディネーターとして、「自分らしく生きる ~専門職後見等の活動から~」と題したパネルディスカッションを行いました。
パネリストからは、「支援者や関係者の連携により、本人が本人のためにお金を使えるようにすることが大切。」「日常的にかかわっている人の方が、本人のやりたいことを理解しており、専門職の後見人と他の支援者が協力し、その人らしい生活を支えることが大切。」「本人が自己決定し納得して支援をうけることで、より本人の本人らしい生活が可能になる。」などの意見が発表され、それぞれ専門分野の異なる、各専門職後見人の立場からの意見や活動の実際をお聞きすることができました。どの専門職もその人らしい生活のために活動されており、改めて「自分らしく生きる」を心に活動していかなければ、と気持ちを新たにすることのできるパネルディスカッションとなりました。
セミナー終了後の懇親会には関係団体の会員が多数参加し、各団体の垣根を越え連携を深めるべく夜遅くまで交流が深められました。

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石井洋文弁護士による成年後見制度の制度説明

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富田佳祐弁護士による法テラスの説明

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講演でお話しいただいた石川秀也氏

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パネルディスカッション登壇者の皆さん

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会場の様子