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2015年度道北地区支部秋季セミナー(市民公開セミナー)実施報告

さる11月7日(土)、名寄市立大学にて2015年度の秋季市民公開セミナーを実施し、会員、同大学の学生、民生委員、一般市民など合計123名が参加しました。今回の秋季セミナーでは生活困窮者のうち特に子どもと女性に焦点を当て、生活困難の実態や課題などについて理解を深めました。
市民公開セミナーでは、まず同大学社会福祉学科の吉中季子准教授より「女性と子どもの生活困窮の背景と課題」をテーマに講演していただきました。貧困格差が広まる中、子どものいる世帯のうち特に母子世帯の貧困率が高いこと、また、母子世帯は非正規労働の割合が高いため、ワーキングプア層全体に比べ就労時間が長いのにも関わらず生活困窮に陥っていることを説明していただきました。また、ワーキングプアに陥る原因の一つである離婚の背景に、夫によるドメスティックバイオレンス(DV)が潜在化しているとし、「被害者でありながら、ほぼ女性が家を出ている。仕事、友人関係、子どもの学校など自分自身の社会資源を全て断ち切って逃げなければならず、保護されてもなお、孤立した状態は長期にわたって続くのが実態」などと経済面以外での生活の困難さについてお話しいただきました。
続いて、同大学社会福祉学科の小野川文子准教授より、「病気と障害のある子どもの発達と生活の貧困とその支援」をテーマに講演していただきました。障害児(肢体不自由特別支援学校在籍)の家族実態として一人親家庭の割合が高く、さらに子どもの介助のため働きたくても働けず経済的な困難さを抱えている方が多くいること等について実例を挙げながら解説していただきました。また、重度の障害がある子どもがいる家庭ほど介助関係が依存的になり、適切なサービス利用に結び付きにくいといった、家族依存型福祉制度の問題について指摘されました。

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講演の様子

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会場の様子